リスクの取り方を間違えた現代のベートーベン

聴力を失った「現代のベートーベン」と呼ばれる作曲家が、18年間にわたってゴーストライターに
曲を書かせていたという事実が発覚したニュースがちょっとした騒ぎになっていますね。

ご本人でなくゴーストライターが謝罪会見を行うという流れが最高に滑稽です。

きっと二者の”影の協定”が継続できないギリギリのところまできていて、決して穏やかではない交
渉が行われていたのでしょう。
原因は人間らしく「欲望=お金」でしょうか?
ゴーストライターは最初は「自分は無名だから書かせて下さい」くらいの低姿勢でしょうが
その作品の存在がここまで有名になり大きなお金を生み始めると、自分の立場やメリットに
「不足」を感じるのが人間という生き物です。

交渉完全決裂・・・ 

「他人に公表されるのなら、せめて自ら公表して批判を少しでも軽減して致命傷を回避できないか」。
そんな判断がホームページでの謝罪文だったのでしょう。
そこに対抗した幽霊作曲家の意地と「なにかいいことあるかも」的な売名意識が生んだのがあの
記者会見です。

お二人とも悪魔に魂を売ったんです・・・ 
その悪魔の存在は・・・ 
きっと今回のニュースでは主役になりません。

これは、かつて音楽業界の端っこに約20年に渡って存在していた私の個人的印象に過ぎないの
ですが・・・
今回のように見えない存在であるはずの影武者が謝罪会見で人前に姿を現す自白劇がブームに
なったら、世の中、謝罪記者会見の数がたくさんになって大変なことになるかもしれませんよ。

作曲家が書いた曲をもらって歌い演奏する歌手よりも
自ら作った曲を歌い演奏する歌手は、アーティスティスト(芸術家)と呼ばれ、存在を大きく見せら
れる。その歌にはメッセージ性があるので人間性という内面の広がりも商品化できる。商品の
価値を長く、可能性を広く維持するためのマーケティングは現実にあるものです。
表現者であるということは大切な商品価値でもあるのですね。

5294186484_4eae4b97a8_b

ただ、音楽業界性悪説よりも性善説をかたくなに信じている私は、そんなぬかるみは業界の
一部であると知っています。

そうじゃない方々もたくさん知っています。本当に愛する音楽を貶めることなく育て広げて行こう
という人達を。

欲望に負けて危険な一発勝負をする音楽ビジネス手法。
冷静さをなくし、良識をなくし、一瞬の快楽の為に全てを投げ打つ・・・ 

それはお金の世界での『投機』と同じ香りを放ちます。

毎日、ビクビクしてても、勝ち続けることは難しい。そして負けが再起不能なスケールのダメージに
なる。

本来音楽はしっかり作って、プランを立てて、コツコツ努力を重ねて育て売っていくもの。
そうしてトップに昇った楽曲やアーティストだけが時代を超えて愛され続ける本当のエヴァーグリー
ンになれるんです。
コツコツにもリスクは存在しますが、そこを、人を欺かないプロモーションや、マーケティング、そし
てタレントの育成に分散してリスクコントロールして行く。他人の上手い話にも耳を貸さないで、ひ
たすら自分のプランを見つめる・・・

これは、正しい投資運用みたいですね。

音楽の世界でも、お金の世界でも、人生と言う舞台でも・・・
リスクの取り方を間違えると、その人が乗った小船は、それなりに安全でそれなりの速さの海流
からはずれて一点に吸い込まれていきます。

多くの人は、その場所を「奈落」と呼びます。

                                            【文責:西原 朗】

Unoakira

西原 朗 
雑誌編集者、ライター、コピーライターを経て、現在はマネースクールUNOにてマーケティングを手掛けながら、書籍執筆や講演活動も行なう。ブランディング、広告コピー、プレゼンテーション、プレスリリース、各種コンテンツなどで人の心に深く届く『言葉』『会話』を紡ぐ。大阪府出身、1961年生まれ。

コメントを残す