いま議論されている確定拠出年金(401k)の問題点とは

マネースクールUNOの倉田です。

消費税再増税延期と衆議院解散を決断した永田町。 同じ日に、同じ永田町である会合が
開かれていました。

それは「第12回社会保障審議会企業年金部会」 つまり国民の将来を支える社会保障とし
ての年金制度についての専門家による話し合いです。
そこで確定拠出年金(401k)の運用状況についての問題点が取り上げられています。

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このブログを読まれている方の中にも401k採用企業に勤め「そう言えばそんな制度
やってたな?」と思われている人もいると思います。 

自分が将来もらう公的な年金の運用先を自分自身で選択し、その運用結果により将来の
受取る年金額が変わる年金制度です。 1978年制定のアメリカの内国歳入法の401条k項
を起源とし制度設計され、日本では2001年に日本国民の実情に合わせアレンジし導入
されました。

現在、大企業等を中心に18000社・480万人が利用し、総資産額で7.5兆円という規模に
成長しています。 部会での配布資料等から専門家が何を問題と捉えているのか?

『制度導入し時間がたったが、利用している企業も個人も正しく使えていない!』

端的に言うとこうなります。

現在401k加入者が選択している資産割合の60%以上は「預金型」または「保険型」の
元本確保方商品を選んでいます。 この配分割合は10年間一貫して変わっていません。

「年金」とは人によっては30?40年以上先に使うお金に困らないよう今のうちに用意する
仕組です。 途中に物価上昇(インフレ)等の大きな社会変化が起こる事は十分に考えられ、
皆さんが歳を取った時には自分で想定しているよりも多くの資産を作っておく必要がある
かもしれません。

増やさなければいけない状況にあるお金にもかかわらず、預けているお金の6割以上は何年
置いてもまったく殖えない運用方法を選択している訳です。 まるで自分の手で自分自身の
未来への扉を閉ざしているかのようです。

今回の年金部会で表明された案が2つあります。

? 企業が年金運用の為に従業員に提供する商品本数が多いと混乱し、制度普及の障害に
なり兼ねないため、商品数を10本以内などの制限を設ける。

? 運用開始後の継続投資教育を“配慮義務”から“努力義務”に格上げする。

現状では、401kを始める最初の研修(導入時投資教育)は“努力義務”である為に100%実施
されていますが、研修実施後の実際に商品選択する時に十分理解できていない人は選択肢
が多く迷ってしまうと思考を停止し、とりあえず元本確保商品を選択してしまう傾向に
ある様です。

その為、現在平均18本ある選択肢を10本ぐらいに抑えれば年金運用としての正しい選択
をしてくれるのではないか、と言う意見です。

また、運用開始後のフォロー(継続投資教育)は“配慮義務”である為に5割程の企業しか
実施されておらず、これを“努力義務”に格上げし100%に近い実施状況に持って行き、
長期投資の観点から誤った選択を是正できるのではないか、と言う意見です。

私達は日々の相談依頼の中に「401kについて見て欲しい」と言う内容も多数見受けられ
ます。 私個人がここ数年受けた数多くの相談内容を分析すると改善すべきポイントは他に
在るように感じます。

相談者の多くは、100%実施されている最初の研修に参加はしたが制度の概要・手続方法
や金融機関の窓口で聞くような通り一遍等な商品説明に終始しているという印象を持って
いる様です。

「マネースクールの無料セミナーを受けるまで、何の為にこの様な事をしなければいけない
のか理解できなかった」

「会社の研修受けたが、結局私はどう考え、どう選んだら良いか分からなかった」

結果上記のような感想を持ちつつ拠出を続けているケースがほとんどです。 これは
“半数の企業で実施されている”と資料で謳われている継続投資教育にも言えます。

お金を殖やして行くために絶対必要な事、それは永年に渡る継続的なメンテナンスです。
そのメンテナンスの為の継続投資教育が“半数”と言うのも論外だとは思いますが、今まで
多くの401k加入者の相談を受けるなかで、運用実施後にフォローを受けた又は改善する
ヒントをもらう機会があったと言う話が出て来た記憶がほとんどありません。

企業側には、統計の数字上では導入研修は100%・継続研修は50%実施しているように
映っていますが、加入者に伝えるべき『本質』がほとんど伝わっていないと言うのが
実情です。 改善すべきは、選びやすくする為に選択商品を絞ることや、形だけの継続研修
の実施割合を上げる事ではない。

「なぜ今、将来へ向けて自分自身で運用をしなければいけないのか!」という、『本質』
がキチンと加入者全員に伝わる様にカリキュラムの内容を抜本的に見直す時期に来て
います。 そうした『本質』を理解した上で尚且つ「私は将来のお金は殖やさなくて良い
から元本保証を選択したい」というジャッジをする事は自己責任だと思います。

しかし、知らず・学ばず・理解せずして制度に沿って消極的選択を永年に渡り続けていく
としたら・・・ 日本人にとってこれほど不幸な事はないと思います。

厚生労働省ホームページ 第12回社会保障審議会企業年金部会 資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000065605.html

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