日本の景気対策になり得る…外国人旅行客の財布

マネースクールUNOの岡です。

円安が止まりません。

今年の年明け、1ドル=102円前後で推移していましたが、12月5日には一時1ドル=
121円を突破、7年4か月ぶりの円安水準を付けました。(12月11日現在は、1ドル
118円前後で推移) 日本経済にとって、「円安はいい事だ」とされてきましたが、
急激な円安に対し、マイナス面も目立ち始めてきました。

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なぜ円安が日本経済にとってプラスだとされてきたのか?

それは、多くの大手企業(自動車や家電メーカーなど)は、日本で作った物を海外に
輸出して利益を得ているからです。

例えば、100万円の自動車は、1ドル100円の時にはアメリカでは1万ドルですが、110円
になると、およそ9000ドルになります。 つまり、同じクルマをこれまでより安く売る
ことができ、人気が高まるということで、円安は輸出を増やす大きな原動力になってき
ました。

ところが、大企業の多くが、ここ数年で工場を海外にどんどん移してしまった結果、輸出
は増えなくなり、以前ほど「円安=輸出増加」にならなくなってしまったのです。

加えて、日本は海外から多くの物を輸入しています。 円安になるということは、輸入品の
価格も値上がりしてしまいます。

先ほどの自動車の例でいえば、海外から1万ドルの自動車を輸入し日本で売る場合、
1ドル100円の時は100万円で売れますが、110円になれば110万円の値段になって
しまいます。

今年1年の円安を受けて、ハムやチョコレート菓子、バター、缶詰など多くの食品が値上
がりしました。 これ以上円安が続くと、輸入の小麦などが値上がりして、パンやパスタ
など多くの食品がさらにもう一段と値上がりする心配がでてきます。

また、国産の肉もエサの多くを輸入に頼っているため、円安は様々な物の値上がり要因
になるのです。

身近な例では、牛丼の値上げ。

「吉野家」は、牛丼など25商品を12月17日午後3時から値上げすると発表、牛丼の
並盛りは80円高い380円になります。 この値上げの原因の一つが原材料費の高騰。

牛丼の原料となる米国産ばら肉の価格が、干ばつなどの影響で前年から約2倍の水準まで
上昇していて、コスト削減策だけでは食材コストの上昇分を吸収できないと判断、さらに
この「円安」が重荷となっていたそうです。

年末年始に海外旅行を計画している人にとっても、急激な円安は「財布に厳しい」はず
ですよね。 そう考えると、「円安ってマイナス面ばかり」と思いがちですが、決して
そうではありません。

円安効果の一つに「訪日外国人客数の増加」があげられると思います。

日本政府観光局が発表した10月の訪日外国人客数は前年同月比37%増の127万2000人
となり、単月としての過去最高を記録しました。 この結果、今年1?10月の累計では前年
同期比27.1%増の1100万9000人となり、2013年に記録した年間の過去最高(1036万人)
を早くも上回りました。

今年は年間で1300万人前後に達する見込みです。

急激に訪日外国人客が増えた要因には、日本政府が中国や東南アジアなどを対象にビザの
条件緩和を実施するなど、観光客増加の取り組みに力を入れていることもあるのですが、
やはり「円安」効果が大きいといえるのではないでしょうか?

私も通勤でJR大阪環状線に毎日乗るのですが、電車内で見かけるユニバーサルスタジオに
行くと思われるアジアの観光客が、数年前から比べればかなり増えたように思います。

ではなぜ外国人観光客が増えることが、日本経済にとってプラスになるのか? それは、
彼らが日本で使う「お金」のがとんでもない金額だからです。

日本政府観光局の別の調査によると、訪日外国人の旅行消費額は今年1?9月で前年同期
比40%増の1兆4677億円にのぼっています。 これはすでに昨年1年間の消費額を上回って
おり、このペースでいけば今年は2兆円近くに達しそうです。

現在、安倍政権が検討している景気対策の規模が2?3兆円と報道されていますから、
訪日外国人が日本国内で消費する金額だけで一つの景気対策になりうると言えるほどの
規模なのです。

外国人観光客が日本の百貨店や家電量販店で買い物をすれば売り上げが上がる、そうすれば
日本の景気も良くなります。 外国人観光客が増えることで、治安の問題などを心配する声
もあるでしょうが、「観光大国ニッポン」を目指すことも、大きな経済政策と言えるのです。

今年一年、円安そして株高で、持っている外貨預金や投資信託といった金融商品が大きく
値上がりした方もいらっしゃると思います。

「円安ラッキー!」と考えるだけでなく、円安や円高が自分たちの暮らし、そして自分
たちの未来の暮らしにどう影響するのかを、少しだけ考えてみませんか?

                                 (岡 知宏)

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