私達は「マイナンバー制度」を上手く活用できるか?

マネースクールUNOの倉田です。

日本でも『社会保障・税番号制度』(マイナンバー制度)が導入されます。

我が国では今まで国民一人一人を識別する番号を各省庁ごとバラバラに設定・管理・運営してきました。
それを「社会保障(年金受給資格・健康保険・失業保険等々)」と「税制(確定申告書・所得証明書等々)」そして「災害対策(被災者管理・支援等々)」に関して共通番号を使う方針。

今年の10月に住民票を基礎とし、原則一生変更されない1人1つ12桁の共通番号である
「マイナンバー」が皆さんに一斉通知されます。
2016年1月から社会保障・税・災害対策の行政手続の中で法律で定められたもののみ制度運用がスタート。
2017年からは情報共有ネットワークシステムが本格稼動し、国の各種機関や地方公共団体との情報連携が開始されます。
先日の一部報道によると、2018年からは戸籍の情報にもマイナンバーが適応される事が検討されているそうです。

Kurata

なぜこの制度を導入するのか?

複数の機関に点在する個人情報により、どんどん複雑・煩雑化する年金や税務手続を改善し、最終的には国全体で社会保障制度(=給付)や税制度(=負担)の透明性・効率性を高める為です。
現在、「給付」「負担」の履歴や決定権はそれぞれを管轄する省庁で別々に管理・運営されています。
「本当に助けが必要な人に必要な援助が回っていないのでは?」と言う不安。
「本当は負担すべき義務や力を持っている人が負担していないのでは?」と言う不満。それらをよりクリアにしていくための第一歩と考えられています。

実際にマイナンバー制度が開始されると、私達の日常生活にどんな影響があるのでしょうか?

例えば給与所得者が確定申告の時に必要な「源泉徴収票」、NISAの手続に必要な「住民票」、高額療養費制度の申請に必要な「所得証明書」。
これらは全ての書類は、本人がマイナンバーを通知することで不要になります。
戸籍やパスポートにもマイナンバーが適用されれば、さらに利便性が増します。
結婚や遺産相続で必要な戸籍謄本が不要となり、最終的にはインターネットで結婚の手続が可能になって来ます。
仕事で海外転勤になる場合もパスポート情報にマイナンバーが適用されれば、金融機関や電気・ガスなど帰国してすぐ必要な手続が一度の申請で完了する事も可能になるそうです。

生活のあらゆる場面で必要だった公的書類が不要となり、手続が簡略化されよりスピーディーで便利になる可能性があります。

しかし新しい制度は、私達の生活を無条件で便利にしてくれるだけではありません。
いくつかの問題点が指摘されています。

最も懸念されているのは、情報の安全性。
たった1つの番号で広範囲の個人情報にアクセスできてしまう為に、情報漏えいに対してどれだけ厳密な情報管理をできるかと言う点です。

行政側の説明では居住地情報・納税情報・所得情報等々が1ヶ所に集められ、共通データベースで集中的に「一元管理」をするのではなく、あくまで情報その物は従来通り各省庁で保管・管理されます。
必要な時に本人から提示されたマイナンバーを頼りに各情報保管元に照会をかけ探す
「分散管理」と言う仕組みを採用しています。
番号が漏洩しただけで、即全ての個人情報が一度に覗かれると言う事では無いとの説明です。

併せて、2017年からは「マイ・ポータル」と言うサイトでマイナンバーを含む個人情報がどうやり取りされたか、という記録を本人が直接確認ができるそうです。

ただこれだけ多くの関係機関が関与した複雑な「分散管理」システムは世界的にも例が無いようで、「地方公共団体だけでも1800以上、これら全てに分散している情報を一体のシステムとして運用する事が本当に可能なのか?」と一部のシステム関連の専門家から疑問の声が上がっています。

さらに実際に「マイナンバー」を取扱う現場サイドでも色々な懸念があります。
一例としては、ほとんどのサラリーマンが係わる「年末調整」の手続。

雇用している企業は扶養控除等の税務手続を進める為に、従業員だけでなくその家族の「マイナンバー」も取得する必要があります。
「マイナンバー」の取得には本人から本人である証明の提示を受け確認をする事が原則です。原則通りであれば家族に対する本人確認も同様で、代理人で可能な場合と家族本人から直に求めなければいけないケースもあるそうです。
しかしその手順や後々の情報管理の方法等、まだまだ決まっていない事も多い様子。
日本には関連会社も含め20万人以上の従業員を抱える企業が複数あり、その家族を含めると途方もない人数になります。
ある企業の人事担当者に聞きましたが、大企業の人事・総務の最前線では制度スタートを見据えてかなりの危機感を持っているようです。

実はこの「マイナンバー制度」は、1968年頃に「国民総背番号制」と言う呼び名で検討されたことがあります。
全ての国民の広範囲な個人情報(住所や戸籍から収入まで!)を国家が簡単に把握できる
様になる。
過去の歴史的経緯から「国家が個人の権利を統制するような時代が来た時に大変困る事態を招くのではないか?」と一部では懸念されています。
日本が他の先進国と比べて共通番号制度の導入が遅くれた最大の原因はここにあるとも言われています。

私達の日常生活を便利に快適にしてくれる制度やシステムは多数あります。
「自動車」「携帯電話」「インターネット」「クレジットカード」・・・そして「マイナンバー制度」
全ての利用者・管理者が正しい使い方をしている場合は問題ありませんが、誤った使い方や故意に悪用したときには、自分だけでなく他人にも被害が及ぶ可能性があります。

今後、色々な場面で「マイナンバー」の提供を求められたり記入したりする機会が増え、時間が経てば皆が当り前の行為と認識しているでしょう。

個人の情報や財産に係わる制度です。
便利さの陰に潜む危険性を認識しつつ、制度の良い部分を上手く活用していきたいものです。                                                      (倉田壮一)

内閣官房 マイナンバー制度 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/

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