パリ同時多発テロと有事の金

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マネースクールUNOの岡です。

11月13日金曜日、パリで世界を震撼させる事件が起きました。

過激派組織「イスラム国(IS)」による、同時多発テロ。

このニュースを受け、週明け16日の東京市場では投資家がリスク回避姿勢を示し、日経平均株価が一時350円近く下落しました。

今回のテロがマーケットに与える影響は限定的との意見が多いですが、テロのニュースは、今後注目しなければならないニュースの一つです。

地政学リスク

地域紛争や戦争の可能性など、特定の地域が抱える政治的・軍事的な緊張の高まりが他の地域も含めた経済活動に悪影響を与えるリスクのことを指します。

過去においては、2001年9月の米同時テロの発生後、アメリカでこの地政学リスクで強く意識され、株式や外国為替相場が不安定要因になったこともありました。

今回のパリでのテロは、マーケットに「地政学リスク」を再び強く印象付ける事件だと言えます。

 

さて、今回のこのテロのニュースを受けて、価格が急上昇したものがあります。

それは何か?

テロ発生のニュースが全世界をかけまった直後、直近1カ月間右肩下がりだった「金(ゴールド)価格」が急反発する場面を見せたのです。

マーケットの世界では「有事の金買い」という言葉があり、地政学リスクが高まると価格が上がるといわれています。

金は変色や腐食をせず燃えないといった性質から、1970年代の米ソ冷戦時代に核戦争が起きても残る資産として語られるようになり、当時のヨーロッパでは核シェルターに金が保管されていたとそうです。

また、2001年のアメリカ同時テロでは倒壊した世界貿易センタービルの地下に保管されていた金塊8トンが無傷で回収され、金価格はテロ発生を受けて短期間で10%上昇しました。

日本でも阪神大震災の際、燃え残った家庭用金庫の中から、灰になったお札や通帳と一緒に溶けて固まった状態の金貨と地金が取り出された映像がテレビで流れ、燃えない資産として「金ブーム」が起こったこともあります。

こういった経緯から、「燃えない資産、実物資産」として有事の際に金が人気化し、買われるのです。

今、テロの脅威と戦うため、空爆を行ったり憲法や法律を変えるような動きが世界各国で見られます。

そういったニュースが流れるたびに、「有事だから今は金が買い時だ」「有事でマーケットが不安定だから、今は投資すべきではない」といったコメントが世の中にあふれるはずです。

世界で今現在何が起こっているのかを知ることは大切ですが、「今が買いだ」「今が売りだ」といった雑音には、あまり振り回されないでほしいと思います。

 

「有事の金」には、過去にこんな動きもありました。

平成3年1月、イラクのクェート侵攻をきっかけとした、湾岸戦争が勃発。

湾岸戦争が始まり最初に開いた東京市場では買い物が殺到、ストップ高(株価が一日の中で上下に変動できる幅のことを制限値幅と言い、制限値幅の上限いっぱいまで上昇すること)まで価格が急騰しました。

ところが、午前中の取引終了時点では、ストップ安(値幅制限の下限いっぱいまで下落)してしまったのです。

開戦と同時に買いが集中したものの、テレビから流れる空爆やミサイルの映像を見て、「(アメリカ中心の多国籍軍とイラク軍との)戦力差は歴然、多国籍軍勝利で戦争はすぐ終わる」との見方が多数を占め、一気に売りが集中した結果、1日の中でストップ高ストップ安というジェットコースターのような動きをしてしまった訳です。

開戦と同時に「有事の金は買いだ!」と買いに走った多くの人は、大変な損失を被ってしまったのです。

これこそが、戦争と言う材料をきっかけに、上がるか下がるかを予想して取引を行った「マネーゲーム」の一つの結果だと思います。

いろいろな経済統計を読みこなし、過去のマーケットの動きをすべて頭に叩き込んだとしても、いつテロが起きるのか、いつ津波や地震といった災害が起きるのかを予想することは不可能です。

いつ何が起きるのかがわからないからこそ、資産、地域、買い付ける時間を分散し、短期間で勝負をかけるのでなく、時間をかけた長期投資をおこなう事が資産運用おいて大切であり、私達がセミナーで受講者の方にお伝えしていることでもあります。

何か大きなニュースで一喜一憂するのでなく、粛々と時間をかけてお金を増やす資産運用を、多くの人に学んでほしいいと思います。

 

パリは燃えているか

第二次大戦中、ナチス・ドイツ軍占領下のパリを舞台に、連合軍によるパリ解放に至る過程と、その裏で繰り広げられた大戦秘話を描いた映画のタイトルです。

今回、テロという脅威で、パリの街は混乱が続いています。

いつの日か、テロそして戦争のない世の中がやってきてほしい、改めてそう思います。

(岡 知宏)

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