VWの不正問題に学ぶ人生目標達成の注意点とは?

VW

マネースクールUNOの倉田です。
人間は誰しも「自身が楽しみたい・他人に良く思われたい」と考えます。
個人・企業を問わず誰もが持っている意識が、時に大問題を引起すケースがあります。

最近起こった「フォルクスワーゲン(VW)排気ガス規制逃れ問題」です。

現在世界の自動車業界は日本のトヨタグループ、欧州のVWグループ、米国のGMグループが頭1つ抜け、世界中で各社年間1000万台前後を販売し熾烈な争いを繰り広げています。
リーマンショックの煽りをまともに受け一時国有化されたGMは数年横ばい、米国での急加速事故問題以降は品質向上に時間を割き台数微増のトヨタを尻目にここ10年で最も勢い良く伸びてきたのがVW。
10年前に200万台程差があったトヨタとVWの販売台数、2014年は10万台という僅差でトヨタが上回ったという状況。
VW躍進の立役者はここ数年で世界最大の自動車販売市場に成長した中国市場でのシェア獲得、浮沈は激しいですが勢いがあります。
VWがトヨタを抜き“悲願”である初の「世界一」の称号を得る為の勝負の要は、ライバルのトヨタ・GMが得意とする世界第2位の自動車販売市場である米国市場攻略の成否。
そんな背景がありました。

「エコ」が叫ばれる昨今、米国市場攻略の目玉としてトヨタのハイブリッド車に対抗する為にVWは欧州新車販売台数の50%以上を占めるエコカーの代表である「クリーンディーゼル車」で勝負に出ます。
新型車を売る為には現地基準の審査をパスする必要がありますが、米国基準と欧州基準で最重要と目される検査項目が異なる為そのまま米国に持ち込んでもクリアする事が難しい。
早期の販売開始を狙いたいVWは違法ソフトウェアにより検査時のみ排気ガス規制値をクリアする不正な手段を選択。
違法ソフトが働かない通常走行時は10~40倍の窒素酸化物を排出する車両を世界で最大1100万台販売するに至りました。

現在、各国の調査機関やVW自体が原因・経緯を調査中のため推測になりますが、これだけの規模の不祥事を現場レベルで判断したとは思えず、組織的判断があった可能性は高い。
問題の遠因は長期的視野の欠落と競争下の短期的な虚栄心。

爆発力はあるもののいつ落ちるか読めない中国市場が順調な今が最大のチャンスと捉え、悲願である「世界一」という名声を短絡的に求めたこと。
さらにここ数年続いたVW社内の権力闘争(VW創業家vs現経営陣)の主導権争いも経営判断に微妙に影響を与えたかも知れません。

不正は一時的に効果があったかもしれませんが、事件表面化で長期的には最悪の結果をもたらします。
株価は大幅に下落、監督機関から最大2兆円以上の巨額の罰金を課される可能性が指摘され、改修費用その他を含めると今後どれ程の金銭的損失になるか予想がつきません。

そして今回の最大の損失は、失われた社会的な「信頼」。
金銭的損失と異なり回復する事が容易でなく、今後永きに渡ってその真意を味わって行く事になるでしょう。

人生にも共通する失敗の要素が含まれています。

私達のスクールを受講し相談に来られる人の中で、お金が貯まらず常に余裕を持てない人生を歩んできている方の傾向として、その瞬間に自身がより満足する選択はどれかという短期的視点で目の前の選択を次々としていく方が多いように感じます。
将来の夢を聴くと「結婚し子供が欲しい!」「マイホームを手に入れたい!」「自分の店を持ちたい!」「豊かな老後を過ごしたい!」
しかしその夢を実現させる為に重要な毎月のお給料・ボーナスの行き先は旅行・洋服・アクセサリー・趣味・習い事・友人との付合いで等でほとんど使ってしまう、誘惑の多い現代社会の中で「お金を貯める・殖やす」事には一切回っていない。
やりたい事や夢だけは年齢と共にどんどん膨らみますが、足元で自身が取っている行動はその自身の願望を遠ざけるような選択になっていませんか?
「このままじゃダメだな~」と心の中で気付いていても・・・

「世界一になりたい! 素晴しい技術を持った企業と思われたい!」

誰しも望む想いを短期的に叶えようと長期的問題になる可能性に目を瞑った企み。
年間の売上高28兆円・営業利益1兆8000億円の世界的企業でさえハマった「罠」
今の行動・選択が将来にどんな影響を及ぼすか、常に長期的な視点に立ち計画を立てて行動する。
企業も個人も同じです。

短絡的な楽しみを求め将来に不安を残す人生にならない、長期的に幸せや夢を手に入れていける人生を目指す為に、改めて人生に役立つ「お金」の勉強をしてみませんか?

(倉田壮一)

投資しない国 日本

マネースクールUNOの岡です。

「私の貯蓄額って、他の方から比べると少ないですか?」
「同じ世代の給与の平均は、いくらですか?」

こういった質問をよく頂きます。
やっぱり、周りの人のお財布の中身って、気になりますよね。
そこで今日は、日本の周りの国々の人たちの「財布の中身」について少し見てみたいと思います。

Oka

日経新聞社が、アジアの主要都市(中国、インド、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、シンガポール、韓国、日本)に住む20歳代の男女を対象に調査した「アジア10カ国の若者調査」によれば、平均月収が最も高い国はシンガポールで、約36万円。

2位が韓国で25万円、3位に日本が入って22万円、4位が中国で16万円となっています。

ところが、日本の若者で「過去1年に経済的に余裕があった」と答えた人は10か国中で最低の25%。

また「3年後に同世代の人より生活レベルが上になっている」とみる人も、日本人が最低の28%となっています。

加えて、「収入に満足している人」18.5%、「仕事に満足している人」28%、「恋人・配偶者との関係に満足している人」32.5%と、これらも項目もすべて「アジア最低」の結果となっているのです。

日本の若者は、アジアの国の中で給与水準が決して低くはないにもかかわらず、アジアの中で一番「貧乏感」が高く、生活への「満足度」が低いという、驚きの結果です。

さらに同調査では、「投資」対する日本の若者の意識の低さも浮き彫りとなっています。
マレーシア 、シンガポール、インドでは、都市に住む過半の若者が、投資をしています。
それに比べ、日本の若者の投資している人の比率は18.5%と、格段に低い数字となっています。

株式や投資信託など金融商品を持っている人は、マレーシアの60%が最も高く、インドは52.5%、シンガポールは50.5%。中国、タイ、フィリピンも4割を超える数字となっているのです。

なぜアジアの若者は積極的に投資をするのか?

3年後の生活は「人並みよりも上回る」と答えた人の割合が、インドネシアやベトナム、フィリピンでは8割を超えていることを考えれば、「景気は良くなる」という自信を強く持っているからこそ、投資意欲が高いといえると思います。

では、なぜ日本の若者は投資をしないのか?

それは、日本人が自信を無くしてしまったからかもしれません。

「失われた20年」
日本経済が安定成長期終焉後である1991年(平成3年)から約20年以上にわたり低迷した期間を指します。
この20年間の間で、日本の若者はすっかり自信を失ってしまったかのようです。

でも皆さん、私達日本人は、自信を失う必要はないと思います!

日本は個人金融資産約1600兆円(アメリカに次いで世界第2位)を持つ、お金持ちの国です。
問題なのは、その54%が預貯金に眠っていて、この比率が10年以上ほとんど変わって
いないと言う事実です。

これに対し、アメリカの個人金融資産のうち、預貯金の比率は15%程度。
実際に、投資信託の保有比率は1980年の1割以下から4割超に拡大しています。
預貯金に偏ってしまっているのがまずいからこそ、「貯蓄から投資へ」の掛け声のもと、日本ではNISA(少額投資非課税制度)がスタートしたのです。

投資をする事が全てとは言いませんが、正しい投資運用でお金が増える実感を得ることが出来れば、少なくとも、自信を取り戻すきっかけになると思います!

日経新聞にはこんなコメントがありました。
「シンガポールで飲食業を営むリーさん(29)は約1年前、4000シンガポールドル(約34万円)を元手に投資を始めた。現在の投資資産は6000シンガポールドル。『まだまだ少額だけど、将来はマイホームを買えるくらいまで増やしたい』と夢は大きい」

さて、冒頭の質問。
周りの人のお財布の中身は確かに気にはなりますが、財布の中身だけでなく、いろんな人のお金に対する意識や、お金の使い方、貯め方も気にしてみてはどうですか?

今まで見えなかった「夢」が見えてくるかもしれませんよ。

                                       (岡 知宏)

人口が「減る」ということ

マネースクールUNOの倉田です。

総務省の人口動態調査の昨年の確定値が発表されました。

人口が年々減少しつつある事は皆さんもご存知かと思います。
日本の総人口のピークは2008年の1億2808万人。

それから4年連続減少し昨年10月時点で1億2708万人、ピーク時と比較しちょうど100万人減少したことになります。

15歳以上65歳未満の「生産年齢人口」と呼ばれ、現在の社会を支える現役世代の減少率が?1.47%と大きな事も気になりますが、昨年はついに65歳以上人口(+110万人、計3300万人)が0?14歳人口(?15万人、計1623万人)の2倍以上になりました。

Kurata

そもそも人口が減るとどうなるでしょうか? 人口減少の弊害として真っ先に挙がるのが、元気に働ける世代の人数が減少しモノやサービスを生産する力が弱まる事です。

世界中の国との間で激しい経済競争が繰り広げられている時代に、国全体としてあらゆる物の生産能力が落ちてくる訳です。 国としての成長が止まってしまい、世界の中で築き上げてきた確固たる地位を維持する事が難しくなります。

2つめの弊害は、私達が日々生活している社会そのものを動かしている多くの仕組みが機能しなくなる事です。 代表的なものは年金制度や保険制度ですが、主に制度を支えるのは「働ける世代」=「お金を稼ぐ事が出来る世代」です。

お金を稼ぐ事が出来る人が多ければ多いほど、働く事が出来ないお年寄りや病気・ケガをしている困った人をより多く助ける事ができます。

日本の国民全員が何らかの公的年金・公的健康保険に加入する事が出来るような法整備がなされたのは1961年。 50年前の日本の総人口は9428万人、そのうち65歳以上人口はたったの550万人、総人口に占める割合も5.8%と20人に1人に過ぎませんでした。 ところが昨年時点の総人口に占める65歳以上人口の割合は26%、つまり4人に1人は高齢者です。 これでは今までと同じ仕組みで社会を動かし続ける事など到底出来ません。

事ある毎に皆さんの周りで口にされる「年金がもらえなくなるかも・・・」という不安の根源の1つはこの50年で起こった人口構成の激変に起因します。

さらに日本の行く末を不安にさせるのが、着実に減少を続ける0?14歳人口。 社会の根幹を担う“予備軍”である子供達が減少を続けるという事は、近い将来の「生産年齢人口」つまり働き手の減少に直結します。

この事実は、ただ単に社会を支える労働力が減少するという側面だけの問題であれば、企業で働ける年齢を引き上げる「定年延長」や、女性の働きやすい環境をつくり労働市場への「女性参画」を促進する事で代替が可能で一時的な回復は見込めます。

しかし、「将来の若き働き手が減る」事はもっと重要な事を意味します。 彼ら彼女らは成長し、やがて結婚し家庭を築き、そして子供をもうけるのです。

つまり彼ら彼女らは“次の”予備軍、まだこの世に生まれていない未来の日本人の人口
そのものを直接的に決定付けます。 そして“次の”予備軍を増やす「能力」は若い世代にしかなく、代替できるものが無いのです。

長期の見通しを考えても取返しのつかない「人口減少スパイラル」にはまりつつあるかもしれない日本。

解決策はあるのか!?

単に“労働力”だけの問題なら海外からの移民受け入れや人工知能を持ったロボット・機械の活用など、日本人以外の力を借りて不足した人手を補充する事はある程度可能になりつつあります。

イメージするなら、現在の欧州各国の状況や近未来を題材としたいくつかのSF映画で描かれた世界。 しかし、欧州では異なる文化・宗教を持った人々の大量流入が新たな対立を生み出し、度々悲しい現実を引き起こしています。

社会全体の機械化・自動化が過度に進むみ、将来は賢くなり過ぎたロボットや
コンピューターが人間の排除に動き・・・
「まさに映画『ターミネーター』の世界!」と今は笑っていられますが、もしかしたらその歴史は始まっているかもしれません。

国家や地方自治体は多くの努力をしてきましたが、現状を鑑みて目立った成果は上がっている訳ではありませんし、今後この傾向が劇的に変化する様な明確なアイデアがある様にも感じられません。 ましてや、それらの運営に中心的に関わっている決定権者の多くは65歳以上です。 残念ながら彼らにとっては「自分達の世代の問題」ではないのです。

「今、普通に生活が出来ているからこの先も大丈夫だろう」

この考え方はいつか自分自身の首を絞めるかもしれません。そうなる前にひとりひとりが自分の立場で「社会」を、そして将来の「お金」の事を考えてみませんか?

総務省統計局 人口推計 http://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.htm

お金の世界も就活もハ?フ?ルに踊らされちゃタ?メ!

マネースクールUNOの岡です。

3月18日、国土交通省は2015年の公示地価を発表しました。 (公示価格とは、一般の不動産取引価格の目安や、公共収用される土地の目安となる価格のこと)

全国の商業地が7年ぶりに下げ止まり、三大都市圏が2年連続で上昇するなど、回復基調が鮮明になってきています。

この地価上昇、背景には外国人観光客の「爆買い」があるようです。 例えば、東京。
東京圏の商業地では、上昇率トップ10のうち、8地点が銀座です。 昨今の爆買いブームの恩恵をもっとも受けているエリアの1つで、午前中から中国人観光客が大挙して押し寄せています。

また、結婚式場で有名な目黒の目黒雅叙園ですが、森トラストによる昨年8月の取得時には約1300億円だった価格が、今年1月末の売却時には1400億円強となり、半年もたたず100億円以上も値が上がり、関係者を驚かせました。

森トラストから取得したファンド関係者は「需給を考えれば賃料が上がる余地は大きく勝算がある」と話しているそうです。 そして、大阪では心斎橋や難波エリアが堅調。
日本一のLCC(格安航空会社)拠点となった関西国際空港からは、梅田よりも心斎橋や難波の方が近く、「日本の不動産が割安だ」と考えている外国人投資家には、より注目されているようです。

道頓堀にある名物「くいだおれ人形」が置いてある「中座くいだおれビル」が3月頭、香港の投資ファンドによって約100億円(推定)で買収され、「大阪のシンボルが外資に・・」と話題となりました。

一方で地方を見てみると、相変わらず7割弱もの地域で地価が下落していますが、たとえば沖縄県で商業地と住宅地が2年連続で上昇したり、東京圏の住宅地上昇率トップ10に外国人観光客から人気の「三井アウトレットパーク木更津」がある木更津(千葉県)が5地点もランクインするなど、不思議な現象も見られます。

これも、外国人観光客の効果があったものと考えられています。 不動産価格の上昇、ベースアップ(賃金アップ)、そして日経平均株価が15年ぶりに19,000円を突破し2万円を伺う展開になってくると、「バブル到来か?」と世の中が浮かれ始めてきますが、意外なところにもバブルがやってきているようです。

それは、2016年卒業予定の新卒採用。 今年の新卒採用は景気回復や人材不足から「売り手市場」となっており、1990年ごろの「採用バブル」をほうふつとさせているようです。

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1990年当時の採用状況はどんなものだったのか?

「学生の確保に成功した企業が内定者を他社に取られないようにするため、研修等と
称して国内旅行や海外旅行に連れ出し他社と連絡ができないような隔離状態に置く」
「内定式をハワイでやる」 また、学生たちの意識も今と違っており、「公務員の給料は安い、良くて平均的」といった風評が大学生の間で蔓延して、「(キャリア組以外の)公務員はバカがなるもの」と見下されがちでした。

今の20代30代の方から見れば、異常と映るはずです。 私自身は、「就職氷河期」と言われ始めたバブル崩壊後の1994年に就職しましたが、学生時代に先輩から聞いた就職活動の実態は、まさにこのとおりでした。

では、1990年前後のバブル就職組のその後はどうだったか? 「就職氷河期の前の企業の大量採用により苦労せず、就職氷河期以前の価値観を持って入社し、さらに同期が多い。

そのため、バブル世代は、就職氷河期以降の社会の考え方と合わず、自立心があまりなく、依存体質であり、会社の負担であると言われており、一部では『花の90年組』と皮肉をこめて呼ぶ者もいる」と、批判的な意見で彼らのことを語る人もいます。

「バブルに踊らされた!」 バブル就職組は、まさにそんな印象です。

ちなみに、今年の新卒採用も、若干「バブルの香り」が漂うものとなっています。 JTBグループのJTBメディアリテーリングが東京湾に寄航する大型クルーズ船で会社説明会を行ったり、ボーリング最大手のラウンドワンが、ボウリングや屋内スポーツで遊びつつ設備やバックヤードなどの店の裏側をのぞくツアーをインターンシップで実施したりと、採用バブル復活を感じさせます。

過去の反省を踏まえ、学生の方にはバブルに踊らされない就職活動を行ってほしいと
思います。

考えてみれば、資産運用の世界も同じ。 株価が仮に20,000円、25,000円と上がって
くれば、株のデートレードやFXといった「マネーゲーム」に熱中する人が増えてきます。

マネーゲームで、一時的に大きな利益を上げることは可能かもしれません。 でも、
マーケットは上昇の後に、必ず下落がやってきます。 その下落局面で、ゲームに興じた多くの人は後悔します。

資産運用とは、ルールに基づき資産を分散し、マーケットの上げ下げに一喜一憂せず、10年20年といった時間をかけててお金を増やしていく行為です。

「お金の世界もバブルに踊らされてはいけない!」

景気回復が意識されだした今こそ、正しいお金の殖やし方を学び、実践していきましょう。

(岡 知宏)

私達は「マイナンバー制度」を上手く活用できるか?

マネースクールUNOの倉田です。

日本でも『社会保障・税番号制度』(マイナンバー制度)が導入されます。

我が国では今まで国民一人一人を識別する番号を各省庁ごとバラバラに設定・管理・運営してきました。
それを「社会保障(年金受給資格・健康保険・失業保険等々)」と「税制(確定申告書・所得証明書等々)」そして「災害対策(被災者管理・支援等々)」に関して共通番号を使う方針。

今年の10月に住民票を基礎とし、原則一生変更されない1人1つ12桁の共通番号である
「マイナンバー」が皆さんに一斉通知されます。
2016年1月から社会保障・税・災害対策の行政手続の中で法律で定められたもののみ制度運用がスタート。
2017年からは情報共有ネットワークシステムが本格稼動し、国の各種機関や地方公共団体との情報連携が開始されます。
先日の一部報道によると、2018年からは戸籍の情報にもマイナンバーが適応される事が検討されているそうです。

Kurata

なぜこの制度を導入するのか?

複数の機関に点在する個人情報により、どんどん複雑・煩雑化する年金や税務手続を改善し、最終的には国全体で社会保障制度(=給付)や税制度(=負担)の透明性・効率性を高める為です。
現在、「給付」「負担」の履歴や決定権はそれぞれを管轄する省庁で別々に管理・運営されています。
「本当に助けが必要な人に必要な援助が回っていないのでは?」と言う不安。
「本当は負担すべき義務や力を持っている人が負担していないのでは?」と言う不満。それらをよりクリアにしていくための第一歩と考えられています。

実際にマイナンバー制度が開始されると、私達の日常生活にどんな影響があるのでしょうか?

例えば給与所得者が確定申告の時に必要な「源泉徴収票」、NISAの手続に必要な「住民票」、高額療養費制度の申請に必要な「所得証明書」。
これらは全ての書類は、本人がマイナンバーを通知することで不要になります。
戸籍やパスポートにもマイナンバーが適用されれば、さらに利便性が増します。
結婚や遺産相続で必要な戸籍謄本が不要となり、最終的にはインターネットで結婚の手続が可能になって来ます。
仕事で海外転勤になる場合もパスポート情報にマイナンバーが適用されれば、金融機関や電気・ガスなど帰国してすぐ必要な手続が一度の申請で完了する事も可能になるそうです。

生活のあらゆる場面で必要だった公的書類が不要となり、手続が簡略化されよりスピーディーで便利になる可能性があります。

しかし新しい制度は、私達の生活を無条件で便利にしてくれるだけではありません。
いくつかの問題点が指摘されています。

最も懸念されているのは、情報の安全性。
たった1つの番号で広範囲の個人情報にアクセスできてしまう為に、情報漏えいに対してどれだけ厳密な情報管理をできるかと言う点です。

行政側の説明では居住地情報・納税情報・所得情報等々が1ヶ所に集められ、共通データベースで集中的に「一元管理」をするのではなく、あくまで情報その物は従来通り各省庁で保管・管理されます。
必要な時に本人から提示されたマイナンバーを頼りに各情報保管元に照会をかけ探す
「分散管理」と言う仕組みを採用しています。
番号が漏洩しただけで、即全ての個人情報が一度に覗かれると言う事では無いとの説明です。

併せて、2017年からは「マイ・ポータル」と言うサイトでマイナンバーを含む個人情報がどうやり取りされたか、という記録を本人が直接確認ができるそうです。

ただこれだけ多くの関係機関が関与した複雑な「分散管理」システムは世界的にも例が無いようで、「地方公共団体だけでも1800以上、これら全てに分散している情報を一体のシステムとして運用する事が本当に可能なのか?」と一部のシステム関連の専門家から疑問の声が上がっています。

さらに実際に「マイナンバー」を取扱う現場サイドでも色々な懸念があります。
一例としては、ほとんどのサラリーマンが係わる「年末調整」の手続。

雇用している企業は扶養控除等の税務手続を進める為に、従業員だけでなくその家族の「マイナンバー」も取得する必要があります。
「マイナンバー」の取得には本人から本人である証明の提示を受け確認をする事が原則です。原則通りであれば家族に対する本人確認も同様で、代理人で可能な場合と家族本人から直に求めなければいけないケースもあるそうです。
しかしその手順や後々の情報管理の方法等、まだまだ決まっていない事も多い様子。
日本には関連会社も含め20万人以上の従業員を抱える企業が複数あり、その家族を含めると途方もない人数になります。
ある企業の人事担当者に聞きましたが、大企業の人事・総務の最前線では制度スタートを見据えてかなりの危機感を持っているようです。

実はこの「マイナンバー制度」は、1968年頃に「国民総背番号制」と言う呼び名で検討されたことがあります。
全ての国民の広範囲な個人情報(住所や戸籍から収入まで!)を国家が簡単に把握できる
様になる。
過去の歴史的経緯から「国家が個人の権利を統制するような時代が来た時に大変困る事態を招くのではないか?」と一部では懸念されています。
日本が他の先進国と比べて共通番号制度の導入が遅くれた最大の原因はここにあるとも言われています。

私達の日常生活を便利に快適にしてくれる制度やシステムは多数あります。
「自動車」「携帯電話」「インターネット」「クレジットカード」・・・そして「マイナンバー制度」
全ての利用者・管理者が正しい使い方をしている場合は問題ありませんが、誤った使い方や故意に悪用したときには、自分だけでなく他人にも被害が及ぶ可能性があります。

今後、色々な場面で「マイナンバー」の提供を求められたり記入したりする機会が増え、時間が経てば皆が当り前の行為と認識しているでしょう。

個人の情報や財産に係わる制度です。
便利さの陰に潜む危険性を認識しつつ、制度の良い部分を上手く活用していきたいものです。                                                      (倉田壮一)

内閣官房 マイナンバー制度 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/