「マタニティマーク」と「投資」の共通点は?

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マネースクールUNOの倉田です。

妊婦さんが身に付けているピンク色の「マタニティマーク」。

2006年に厚生労働省によりデザイン統一され、社会生活の中で皆が妊婦さんと赤ちゃんを見守る意識を高め、緊急時に妊娠している事を伝えるツールとして用いられています。

このマタニティマークがデザインされたストラップの大きさが年々小さくなってきているそうです。

「小さくして欲しい!」と言う要望を出しているのは、意外にも日常生活で出来る限り社会からの助けを得たいと望んでいるはずの妊婦さん。

緊急事態に備え常に身には付けておきたいと望んでいますが、付けている事により危険な目に遭遇したと言う報告がネット等で散見されています。

産婦人科でも目立ち過ぎないように常に身に付けるようアドバイスするケースもあるようです。

本当は社会全体で守る必要があるマタニティマークを付けている妊婦さん。

妊婦さんが嫌がらせの対象となってしまった原因は、妊娠・子供に対し何らかの不快感を持つ人の不満の表れ、社会の善意を受けようとマークを悪用する妊娠していない女性の存在等々、あくまでごく少数と思いますが様々な要因が指摘されています。

現代社会は多くの人々の高度な助け合いで成り立っており、今後も継続して行く為には「親から子そして孫へ」という健全な世代間のリレーが社会全体として続かなければ成立しません。

親が存在しなければ子は育ちませんし、子共などの次世代が大きくなり社会を支える存在にならなければ親世代は安定したリタイア後の生活は送れないのです。

当然国家・政府はその事を理解、アベノミクス第二弾の目玉政策に希望出生率の目標値を定めるなど、ここ数年は少子化対策を充実させてきています。

どんなにトップダウンで社会を良くする為の政策が打ち出されても、実際に妊婦さんと接する私達が正しい理解し行動に移さなければより良い社会にならないだけではなく将来の日本を支えてくれる可能性のある世代が十分に育たず自分自身の老後に不安を残す結果になります。

 

似たようなニュアンスの出来事が「お金」の世界でも起こっています。

 

「失われた20年」と揶揄されてきた最近の日本。

頑張って働いても望むようには増えない収入、節約し貯めても殖える気配すらない貯蓄。

この状態が今後も長期間継続してしまえば私達の未来が輝かしいものとはならない可能性が高いことは日本の社会全体が意識しています。

そこで国は2000年以降『貯蓄から投資へ!』というスローガンを掲げ、「正しくお金を殖やす行為」=「投資」を後押しすべく、確定拠出年金(401k)・小額投資非課税制度(NISA)など様々な政策を打ち出しています。

 

しかしそれらの諸制度を実際に使う日本国民の大多数は、過去まともに金銭教育を受けていないため正しいお金の知識を持ち合わせていない現状。

私達ファイナンシャルプランナーが多くの相談者からお金の相談を受け垣間見るのは、日本国民の知識不足と自分達の利益至上主義の為におよそ「正しいお金の殖やし方」とはかけ離れたような方法や商品を紹介している金融機関の姿勢。

残念ながら多くの日本人には提案されたプランが自分に現時点で必要かどうか?本当に合っているかどうか?を判断する力が備わっていません。

 

真の意味で恩恵を最大限享受すべき人達が、自身の知識不足のために一部の悪意を持った人の行動と社会の誤った認識により自分の人生を切り開く有益なツールを萎縮し使えない事は、その人にとっての不利益となるだけでなく行く行くは社会全体の損失となってしまう。

 

利用者や周りを取り巻く社会のあり方で小さくなってしまったマタニティマークのように、正しいお金の殖やし自身の将来を明るくする「貯蓄から投資」の流れを萎縮させてはいけませんよね。

その為には、皆が正しく「投資」について学ぶ必要があると思うんです。 

人口が「減る」ということ

マネースクールUNOの倉田です。

総務省の人口動態調査の昨年の確定値が発表されました。

人口が年々減少しつつある事は皆さんもご存知かと思います。
日本の総人口のピークは2008年の1億2808万人。

それから4年連続減少し昨年10月時点で1億2708万人、ピーク時と比較しちょうど100万人減少したことになります。

15歳以上65歳未満の「生産年齢人口」と呼ばれ、現在の社会を支える現役世代の減少率が?1.47%と大きな事も気になりますが、昨年はついに65歳以上人口(+110万人、計3300万人)が0?14歳人口(?15万人、計1623万人)の2倍以上になりました。

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そもそも人口が減るとどうなるでしょうか? 人口減少の弊害として真っ先に挙がるのが、元気に働ける世代の人数が減少しモノやサービスを生産する力が弱まる事です。

世界中の国との間で激しい経済競争が繰り広げられている時代に、国全体としてあらゆる物の生産能力が落ちてくる訳です。 国としての成長が止まってしまい、世界の中で築き上げてきた確固たる地位を維持する事が難しくなります。

2つめの弊害は、私達が日々生活している社会そのものを動かしている多くの仕組みが機能しなくなる事です。 代表的なものは年金制度や保険制度ですが、主に制度を支えるのは「働ける世代」=「お金を稼ぐ事が出来る世代」です。

お金を稼ぐ事が出来る人が多ければ多いほど、働く事が出来ないお年寄りや病気・ケガをしている困った人をより多く助ける事ができます。

日本の国民全員が何らかの公的年金・公的健康保険に加入する事が出来るような法整備がなされたのは1961年。 50年前の日本の総人口は9428万人、そのうち65歳以上人口はたったの550万人、総人口に占める割合も5.8%と20人に1人に過ぎませんでした。 ところが昨年時点の総人口に占める65歳以上人口の割合は26%、つまり4人に1人は高齢者です。 これでは今までと同じ仕組みで社会を動かし続ける事など到底出来ません。

事ある毎に皆さんの周りで口にされる「年金がもらえなくなるかも・・・」という不安の根源の1つはこの50年で起こった人口構成の激変に起因します。

さらに日本の行く末を不安にさせるのが、着実に減少を続ける0?14歳人口。 社会の根幹を担う“予備軍”である子供達が減少を続けるという事は、近い将来の「生産年齢人口」つまり働き手の減少に直結します。

この事実は、ただ単に社会を支える労働力が減少するという側面だけの問題であれば、企業で働ける年齢を引き上げる「定年延長」や、女性の働きやすい環境をつくり労働市場への「女性参画」を促進する事で代替が可能で一時的な回復は見込めます。

しかし、「将来の若き働き手が減る」事はもっと重要な事を意味します。 彼ら彼女らは成長し、やがて結婚し家庭を築き、そして子供をもうけるのです。

つまり彼ら彼女らは“次の”予備軍、まだこの世に生まれていない未来の日本人の人口
そのものを直接的に決定付けます。 そして“次の”予備軍を増やす「能力」は若い世代にしかなく、代替できるものが無いのです。

長期の見通しを考えても取返しのつかない「人口減少スパイラル」にはまりつつあるかもしれない日本。

解決策はあるのか!?

単に“労働力”だけの問題なら海外からの移民受け入れや人工知能を持ったロボット・機械の活用など、日本人以外の力を借りて不足した人手を補充する事はある程度可能になりつつあります。

イメージするなら、現在の欧州各国の状況や近未来を題材としたいくつかのSF映画で描かれた世界。 しかし、欧州では異なる文化・宗教を持った人々の大量流入が新たな対立を生み出し、度々悲しい現実を引き起こしています。

社会全体の機械化・自動化が過度に進むみ、将来は賢くなり過ぎたロボットや
コンピューターが人間の排除に動き・・・
「まさに映画『ターミネーター』の世界!」と今は笑っていられますが、もしかしたらその歴史は始まっているかもしれません。

国家や地方自治体は多くの努力をしてきましたが、現状を鑑みて目立った成果は上がっている訳ではありませんし、今後この傾向が劇的に変化する様な明確なアイデアがある様にも感じられません。 ましてや、それらの運営に中心的に関わっている決定権者の多くは65歳以上です。 残念ながら彼らにとっては「自分達の世代の問題」ではないのです。

「今、普通に生活が出来ているからこの先も大丈夫だろう」

この考え方はいつか自分自身の首を絞めるかもしれません。そうなる前にひとりひとりが自分の立場で「社会」を、そして将来の「お金」の事を考えてみませんか?

総務省統計局 人口推計 http://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.htm

「見直し=ガマン」 それって悲しくないですか?

マネースクールUNOの岡です。

2015年度税制改正関連法が3月31日、参院本会議で可決、成立しました。
「国会ことなんて、むずかしくて私には関係ない」とは思わないで下さいね!

この2015年度税制改正関連法で、2017年4月に消費税率が10%に引き上げられることが正式に決定したのです。
昨年4月に5%から8%に上がった消費税。
そもそもは2015年10月から10%に引き上げられる予定でしたが、昨年11月、安倍首相が衆議院の解散表明と同時に、引き上げ時期を延期しました。

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なぜ延期したのか?

簡単に言えば、「ここでさらに消費税を上げれば景気が腰折れし、生活が苦しくなる可能性がある」という理由からです。

ところが今回の決定では、景気が悪くなれば増税を延期できると言う「景気条項」は削除されました。
つまり、「仮に景気が悪くなろうが生活が苦しくなろうが、消費税は再来年から10%に上がる」と言うこと。

消費税が5%から8%に上がって1年、皆さんは日々の生活に何か変化がありましたか?

ライフネット生命保険が調査した「消費増税から1年。2015年、今年こそ見直したいものに関する調査」によれば、多くの日本人は「消費税が上がり、いろいろなことを『ガマン』」したようです。

消費増税以降、実際に見直して節約したもののトップは、「外食・飲み会費」で55.8%。
以下、「衣類・雑貨費」が45.1%、「家庭の食費」が40.9%、「旅行などの娯楽費」が
35.9%などと続いていて、日々の生活で何かを我慢する「ガマン型節約」が上位を占めています。

さらに、2017年4月からの10%への消費増税に向けて、今年(2015年)見直したいものを
尋ねたところ、「外食・飲み会費」が59.3%、「衣類・雑貨費」が43.3%など、「消費税がさらに上がれば、今以上にもっともっと『ガマン』する」との結果になっています。

「見直し=ガマン」
これって、悲しくありませんか?

 

10%に上がることが決まった日本の消費税ですが、今後何パーセントまで上がるかはわかりません。
ただ、日本には借金が約1000兆円、国民1人当たりに直せば約800万円の借金が存在します。

この莫大な借金を返すための国の収入は、税金のみです。
欧米諸国の消費税が既に20%である事実を考えれば、日本の消費税もいずれ15%、20%と上がっていっても不思議ではありません。

消費税が上がっていくに従い、日々の生活をガマンし続けるのならば、とても悲しいことだと思います。

そもそもお金を貯めていくためには、収入を上げ、支出を下げるしかありません。
ガマンすると言うことは、「支出を下げる」ことなのですが、収入を上げることが出来れば、「ほどほどのガマン」でいいはず。

ところが、今の時代、勤労所得と呼ばれる給与はなかなか上がりません。
いつの間にか、日本人は給与アップをあきらめてしまったようにも感じます。

となれば、これからの時代、お金でお金を増やす「金融所得」の必要性が高まっていくはずです。

超低金利が続く現代においても、正しい投資運用で「お金って増えていくんだ!」と言う実感が持てれば、ガマンしないで外食やおしゃれにお金を使うことが出来るはずです。

ただ、日本人は「額に汗して稼ぐ勤労所得は清らかなもので、お金でお金を増やす金融所得は汚らわしいもの」と言った倫理観を持っているように思います。

でも皆さん、考えてみてください。
例えば、NISA(少額投資非課税制度)。
今回消費税率のアップが決まったように、借金大国である日本は税金が欲しくて欲しくて仕方ないはずです。
にもかかわらず、投資に関して非課税にする制度であるNISAを導入したということは、国民に対して「(金融所得である)投資をしよう!」と呼びかけをしている証拠。
国が国民に対して、いかがわしいものや汚らわしいものを啓蒙する事はないはずです。

「貯蓄から投資へ」

言い古された言葉かもしれませんが、「貯蓄から投資へ」の流れが進むことが、人々の暮らしを豊かにし、日本が活性化することにつながると、マネースクールUNOは信じています。
国民にもっともっと投資を啓蒙するため、11月23日が「勤労感謝の日」として祝日であるように、2月13日を「ニーサの日」、10月4日を「投資の日」として祝日にするくらいの、思い切った政策があってもいいかもしれません。

皆さん、ガマンだけが見直しではありませんよ。
一緒に「金融所得の見直し」もしてきましょう!


(岡 知宏)

ピケティ 知ってますか?

マネースクールUNOの岡です。

世界の経済格差を取り上げた一冊の専門書『21世紀の資本』が、大きな話題を呼んでいます。
世界38カ国で150万部を突破、日本語版も税抜き価格で5,500円という高額ながら13万部を超えて、専門書としては異例のヒットとなっています。

著者は、フランスの経済学者、トマ・ピケティ
各国を講演で飛び回り、その人気は「ピケティ現象」とまで言われています。
先日日本にも訪れ、会見やインタビューを精力的にこなしていたので、テレビなどでご覧になった方も多いと思います。

本の内容を簡単に言えば、世界各国の経済格差が、なぜ起きているのかを詳しく論じたものと言えます。
日本では、一昔前までは「一億総中流」といわれ、比較的格差のない国だと、みんなが思っていました。
ところが、政府の統計で、今や6人に1人が貧困状態にあるとされています。
「なぜ、こうなってしまったのか? 明日はどうなるのか?」という不安感に、この本がうまくマッチしたとヒット要因が分析されています。

ピケティは著書の中で、「豊かな人とそうでない人の格差が拡大しており、上位1%の人が獲得する所得の割合が年々上昇している」と論じています。
なぜそうなったのか、これからどうするべきかは別にして、「できることならば、この1%に入りたい、近づきたい!」と思うのは、人間の本音だと思います。

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何をもってお金持ちなのかは別として、「お金を持っている人の特徴は何か?」を考える上で、少し興味深い調査結果を見つけました。

フィデリティ退職・投資教育研究所が、会社員(正規雇用、非正規雇用)、公務員、自営業者を含む勤労者32,494人を対象に2014年4月に実施した「勤労者3万人の退職準備状況 20代、30代の現状と改善へのアプローチアイデア」によれば、20代で1,000万円以上の金融資産を持っている人は7.3%。

そして彼らのプロファイルは以下の通り。

・ そのうち約70%が比較的大手企業で働いている
・ その平均年収は451.4万円
・ 男女比は53:47
・ 保有する金融資産の平均金額は2743.4万円
・ 退職後の生活のための保有金融資産は1010.1万円

1,000万円以上というくくりなのですが、その保有金融資産の実額は平均で2743.4万円もあります。
つまり、「持っている人はとにかく持っている!」ということ。
ここにもピケティが言う「格差」が感じられます。

この調査結果の中で個人的に興味深かったのは、「保有金融資産1,000万円以上の20代」の特徴として挙げた5つの項目です。

1. 確定拠出年金に積極的であること
2. 年金制度を理解していること
3. 退職後の生活を楽観していないこと
4. 資産運用に積極的であること
5. お金に関する情報をWebと新聞から入手していること

この5項目を読み替えれば、「適度な危機感を持ち、将来やってくるであるイベントに対して準備を怠らない人が1000万円以上の金融資産を持っている」と言えるように思います。

さらに、「投資に対してポジティブなイメージを持っている」割合を見ると、20代の平均が25.9%に対し、保有金融資産1,000万円以上の20代は41.1%と、明らかに差が有ります。
「お金持ちほど投資にポジティブなイメージを持っている」ことが明らかな調査結果となっています。

そういった結果も踏まえて更に目を凝らしていると、机上の知識だけでなく「実践」「体験」が大きな柱だということも見えてきますね。

このブログを読んでいただいている方の中には、「リスクを取る投資運用」に抵抗をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
「リスク」の語源は、イタリア語でriscare、「勇気を持って試みる」と言われています。
一億総中流の時代でなくなった今、勇気をもってリスクを取る投資運用に取り組むことが、お金持ちへの近道かもしれません。

UNOのセミナーで、正しいお金の知識、そして正しいリスクのとり方を学んで実践・体験しませんか?

本当の意味で「100年安心」な年金って何だろう?

マネースクールUNOの岡です。

2015年4月、16年ぶりに公的年金の支給額が引き上げられます。 2014年度に比べ0.9%上昇、厚生年金を受け取る夫婦二人のモデル世帯では、受給額は22万1507円となり、2441円増える計算です。
ところが、「増えてよかった!」と、単純には喜べません。 実質的には、年金は「減った!」と考えなければならないのです。

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なぜ、もらえる年金が実質的に減るのか?

昨年1年間、消費税がアップしたこともあり、物価は2.7%上昇しました。 つまり、昨年1万円で買えていたものが、今年は1万270円出さないと買えないということです。
ところが、年金としてもらえる額が0.9%しか上がらないということは、1万円に対して90円しか増えていないということ。 1万90円では1万270円のモノを買うことが出来ない、つまり実質的に貰える年金は「減った」と考えなければならないのです。 年金は原則、物価や賃金が上がれば増え、下がれば減る仕組みです。

ではなぜ物価の上昇に比べ年金の上昇率が圧縮されているのか?

これにはおおむね2つの理由があります。
1つは「特例水準の解消」 現在の年金は、過去に物価が下がったときに行われるべき減額が不十分で、本来の水準よりも高い年金(特例水準)が支給されています。 今回は、その是正で0.5%が引き下げられるため、デフレだった過去約15年にわたって本来よりも高い水準だった状態が解消されるためです。

もう1つは「マクロ経済スライド」の実施、少子化と長寿化に伴う水準抑制になります。
マクロ経済スライドとは、そのときの社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。

保険料を納める現役世代の減少と、年金を受け取る高齢者の平均余命の伸びを年金額に反映する仕組みで、2004年の年金改正で導入されました。 現役世代の「仕送り」負担を軽くし、次世代に年金制度を引き継ぐ「切り札」とされましたが、デフレが長く続き、物価や賃金が下がったときは実施しないルールがあるため、今までは実施されませんでしたが、昨年の物価の上昇を受け、2015年度に初めて実施され、0.9%が引き下げられます。 (0.6%が少子化要因、0.3%が長寿化要因です)

厚生労働省:マクロ経済スライドってなに? http://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/finance/popup1.html

年金額は物価上昇率と賃金上昇率を比べ、低い方を適用します。 物価上昇率が総合指数ベースで2.7%、賃金上昇率は2.3%となったので、2015年度の年金額は賃金上昇分が上乗せされ、本来2.3%増となるはずでした。

ところが、「特例水準解消」の0.5%、「物価スライド」の0.9%がそれぞれ引き下げられるため、この2つのマイナスを差し引いた0.9%の上昇に抑えられたというわけです。
(賃金上昇分2.3%?特例水準解消0.5%?物価スライド0.9%=0.9%)

これは、国民年金や厚生年金など、すべての公的年金が対象となります。 この年金受給額の実質減少、年金を貰っている世代にとっては、ちょっと納得いかない事かもしれません。
ここ1年、スーパーなどでの食品の値上がりが目立ち、なんとなくインフレを意識するようになっていませんか? そんな中、インフレに見合う年金をもらえないのは、たまったもんじゃないですよね。

一方、これから年金を貰う現役世代にとっては、今の年金受給者の年金受取額が
「もらいすぎ」であることに納得がいかないかもしれません。 マクロ経済スライドは、物価が下落しているデフレ環境下では使わないルールがあったため、当初計画の2007年度からの発動は大幅に遅れ、実施まで8年もかかりました。
マクロスライドを予定通り2007年度から適用していれば、年金の支給額は現役世代の収入と比べ54%に抑制できる見通しでしたが、マクロスライドが実施されなかったため、62.7%と高止まりしています。 もし今のままの状態が続けば、今現在30歳の人は、年金を受け取れるようになっても、現役世代の収入の50.6%しかもらえないとの試算もあります。 20代や30代の人が「年金不安」を口にすることにも納得の数字です。

私は、マクロ経済スライドや日本の年金制度改革の是非を問いたいわけではありません。 私達が改めて考えなければならないのは、貰える公的年金の受給額は、時代とともに変化しているということです。
今現在、国民年金の受給額は満額で年間約78万円、ところが1980年の受給額は約50万円、デフレが長引いた日本においてでも、35年間で56%もアップしています。 にもかかわらず、年金不安が叫ばれる中、多くの方が「自分年金」と称して積み立てを行なっている個人年金保険や終身保険は、将来もらえる金額を加入時に固定している「定額型」のものが圧倒的に多いはずです。

一般的な定額型の「個人年金保険」とは、例えば毎月1万円の保険料を払い、30年後から毎年40万円を10年間にわたって受け取れるようなものです。 1万円×12ヶ月×30年間=360万円の保険料を払い、40万円×10年間=400万円を受け取ったとしても、インフレで受け取る時期の物価が上がってしまっていれば、お金は「増えた」のではなく「減った」と考えるべきです。

現時点で貰える金額を固定しまうことは、決して「安心」ではないですよ!

「100年安心プラン」 これは、政府が2004年にマクロ経済スライドを導入した年金制度改革の際に使った言葉です。 公的年金の改革は国が行うことかも知れませんが、個人年金の改革は自分自身で行うものです。
将来の物価上昇に備え、公的年金は株や債券といったものでの「投資運用」をしていますが、定額型の年金保険は、「投資運用」はしていません。

皆さん、本当の意味の安心を、再度考えてみませんか?

(岡 知宏)