そのまま行って本当に大丈夫ですか?

マネースクールUNOの倉田です。

確定拠出年金(401k)・・・
老後に仕事が出来なくなり日々の生活に困る事がないように私達を支えてくれる「年金」の一制度で、毎月決まった金額を拠出、その資金を所属している企業等に任せるのではなく自分自身で年金の運用先を決め、運用結果が将来もらう年金金額の一部にそのまま反映される仕組み。

現役時代に自分自身が選択した運用先の結果次第で老後の生活費が左右されてしまう事になります。

企業型確定拠出年金の採用企業数が3月末時点で19832社、加入者数で500万人を突破しました。
会社員の多くが加入する厚生年金の加入者数が約3500万人ですから、今やサラリーマンの7人に1人は確定拠出年金に加入している状況です。

政府は2020年までに採用社数2万社を目標に掲げていましたが、5年ほど前倒しで目標を達成。
早期達成に昨今の運用環境の好転が後押しした事は言うまでもありません。

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そもそも「預貯金大好き」・「元本保証大好き」な日本人がこの制度を自ら望んで取り入たのか?

残念ながら、望んだのは企業側です。

多くの会社員の年金制度は「国民年金(1階部分)」+「厚生年金(2階部分)」という2階建ての構成が基本です。
これに一部の福利厚生が手厚い企業(主に大企業)は「企業年金(3階部分)」を追加した3階建ての年金制度を採用しています。
この3階部分となる「企業年金」は厚生年金基金や確定給付企業年金が主で、運用は企業側に任せられている代わりに加入者に将来の年金額を約束します。
将来の約束に対しその時点の殖え方(運用実績)が下回った場合は企業が差額を穴埋めすることが義務付けられています。
15年ほど前まで企業に求められていた運用利回りは5.5%とかなり高い水準でした。
現在は法律の改正により引下げ可能となり、年金基金ごとに異なりますが運用目標を2%?3%前後に引下げている基金もあるようです。

経済環境が良い時代は概ね年あたり5.5%以上の運用利回りを達成し、従業員への手厚い福利厚生となり企業側のアピールポイントになるなどプラスの効果を発揮する事が多かった「企業年金」。
しかし、90年代以降の日本経済の停滞期には運用利回りは低迷、穴埋めすることが多くなり、事業環境の厳しくなった企業側の負担は本業の儲けに対し無視できないレベルになりました。
そこで運用結果の責任を企業側が負うのではなく、年金受給者(=加入者)が運用結果の責任を負う「確定拠出年金」をこぞって採用した、と言う側面があります。

当然ながら確定拠出年金には加入者側にもメリットがあります。
自分の裁量で“うまく”運用できれば、将来必要な年金額を自身の手で増やせる可能性があります。

そう、“うまく”運用する必要があるのです。

しかし現時点で確定拠出年金加入者の多くは運用資産の選択において預金型や保険型の元本確保型の商品を主軸にチョイスしています。
結果、今までの運用結果を年あたりの利回りに直すと2%に満たない水準に留まっている加入者が半数を越えていると言われています。

「2%で殖えていったら預金してるよりずっと良いじゃん!」

そう思われたあなた、危険です!

仮に30年間毎月2万円の掛け金を複利運用したと想定します。
運用利回りが年率1%の場合、自分が出したお金720万円は843万円になり、30年間で120万円殖えます。
120万円程度の金額では、老後に安めの軽自動車1台買ったら無くなってしまいます。
運用利回りが年率2%の場合、自分が出したお金720万円は993万円となり、30年間で270万円殖えます。
270万円程度の金額では、退職後に夫婦2人がどうにか1年間生活できるギリギリの費用です。
この程度の年金原資の殖え方では、退職後20年前後続くであろう老後に必要と言われる大きな生活資金には到底足りません。

一方、現在年金を受給し老後生活を楽しんでいるシルバー世代。
一部は企業年金がある企業に勤め、退職後に厚生年金にプラスして企業年金分を受け取っている方々も居られます。
彼らの時代の企業年金が約束していた運用利回り5.5%で毎月2万円の積立を30年間運用した場合、30年後の年金原資の総額は1834万円!
自分で出したお金720万円に対し30年間で1110万円も殖えて戻ってきたイメージになります。

あくまで年金の一部の話、しかも計算上のイメージではあります。
また過去と現在は状況が異なり、1980年代までの日本は確実に物の値段が上がるの流れを歩み、一瞬ですが年あたり10%以上の物価上昇を体験した時期もあったため、当時の5.5%は殖やしていくために必須の条件だったかもしれません。
しかし、現在定年後の生活を楽しんでいる60・70代以降のシルバー世代は時代や企業側の運用努力の助けを受けていたとは言え、少なくとも現役期間中に年金以外の資産も含め、この殖え方のイメージを長期に渡り実現できたからこそ今の生活を維持する為の金額を得られたのも事実です。

「親世代が実現している様な人生を楽しめる老後を送りたい!」

私達の世代もそう望んでいる人は多いのではないでしょうか?
しかし自分の確定拠出年金の運用選択が運用利回り2%以下で長期間放置し続けていては決して親世代と同レベルの生活を手に入れる事は難しいでしょう。
「私の老後は修行僧の様に質素倹約し、生きる事のみにしかお金を使わない!」と極端に考えているのならまだしも。
現代日本人の多くが現時点においては達成できている、自分自身の行きたい時に旅行行ったり、趣味の活動をしたり、食べたいと思った時に好きな物を食べに行けるという生活を収入が得にくくなった老後も長期に渡り実現する為には、少なくとも何らかの『努力』を要するはずです。

その努力が結果に結びつく仕組みのひとつが、今皆さんが掛けている『確定拠出年金』なのです!
自分自身で運用内容を決めるのです、過去の様に出てきた結果に対し企業側は助けてはくれません。

今一度、自身に問い直してください。

あなたが現在選択している確定拠出年金の運用内容、そのまま行って本当に大丈夫ですか?

黒田投手が袖にしたMLBの年金制度と私的年金について思索。

マネースクールUNOの岡です。

2月に入り、プロ野球もいよいよキャンプインとなりました。
今年のプロ野球の見どころは、なんといってもカープの黒田博樹投手でしょう。
アメリカ・メジャーリーグ球団からの年俸約20億円のオファーを断り、年俸4億円でカープに復帰する黒田投手。

「お金じゃない!」

黒田投手が見せた男気に、カープファンならずとも「カッコいい!」と思ったのではないでしょうか?

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野球に興味のない方にとってはどうでもいい話かもしれませんが、今日は「野球選手の年金」、そして「私的年金」についてお話ししたいと思います。

アメリカ・メジャーリーグの年金制度は、ざっとこんな感じです。
・メジャーの選手登録が5年以上あれば資格が得られる
・10年以上の選手登録があれば満額受け取れる
・年金支給期間は60歳から死亡するまで
・年金受取額は、175,000ドル/年(1ドル=115円であれば、約2010万円/年)

ちなみに、イチロー選手はメジャーリーグで2001年からプレーしており、満額受給となります。

では、日本のプロ野球の年金はどうか? ざっとこんな感じ「でした」。
・10年以上の選手登録があれば資格が得られる
・2軍選手でも受け取ることができる
・年金支給期間は55歳から死亡するまで
・年金受取額は約120万円(月10万円)

この日米の年金格差を見ても、「やっぱりメジャーリーグは桁が違う」と感じてしまいすね。

ところで、先ほど「でした」と書いたのは、この日本のプロ野球の年金制度、現在は廃止されています。

そもそも、プロ野球選手は「自営業者」に当たるため、公的な年金の区分では「国民年金」を受給する立場になります。
そして、ここでいう「プロ野球の年金制度」とは、国民年金・厚生年金・共済年金などの「公的年金」ではなく、国民年金基金・厚生年金基金・確定拠出年金など、国以外の企業、各種団体が独自に運営し、公的年金に上乗せする形の「私的年金」にあたります。
そして、日本のプロ野球の年金制度は私的年金のひとつである「適格退職年金」の制度に近いものでした。
ところが、平成24年3月に適格退職年金制度自体が廃止となり、それにつれて日本プロ野球の年金制度も廃止となったのです。
この適格退職年金は、一般の企業や団体も多く加入していたので、このブログを読んで頂いている方の中にも「そういえば自分の会社の年金制度が廃止・変更になった」と思い出していらっしゃる方がいるかもしれません。

では、なぜ適格退職年金が廃止されたのか?
適格退職年金は、将来の退職金の支払いに備え、一定の掛金を計画的に外部に積み立てる「事前積み立て方式」を採っていました。
そしてこの積み立ては、一定の運用収益を見込んで行います。
この運用収益は当初予定利率5.5%という数字を用いて算出され、この数字をもとに掛金や退職金額が決まっていたのですが、低金利が継続したため実際の運用益が低下してしまいました。
必要な退職年金額を充たすためには、運用収益が低下した分、保険料(掛金)を増やさなければなりません。
そして、その保険料(掛金)は、仕組み上、会社の責任と負担で増やすしかないのですが、会社としても充分な負担が出来ず、その結果、積立金不足に陥ってしまった。
ざっくりと言えば、これが適格退職年金廃止の背景です。
適格退職年金だけでなく、私的年金の一つである厚生年金基金の解散が相次いでいるのも概ね同じ理由です。

廃止にあたって、この制度に代わるものも作られましたが、プロ野球と同じように、適格退職年金を利用していた多くの企業・団体が乗り換えをせず、資金難などを理由に企業年金をやめてしまっています。

そして、それに代わる制度の一つが、加入者である従業員自身が金融商品を選んで運用する確定拠出年金制度なのです。
確定拠出年金の詳細については、以下のUNOブログをご覧ください。

確定搬出年金 401K 関係ないですか?
http://blog.msuno.jp/2013/07/401k-9da2.html

確定拠出年金 もう少し詳しく語っていいですか?
http://blog.msuno.jp/2013/08/post-8dc4.html

なぜ、多くの企業が乗換をしなかったのか?
とある企業の年金担当者によれば、「新たな制度では資金運用リスクや加入者への運用教育などの負担が大きい。特に美容院や飲食店など個人経営企業は、その負担を嫌って廃止したケースが多いのでは?」とのことです。

適格退職年金も厚生年金基金も、完全に「おまかせ」な制度、従業員が運用について学ぶ必要はありません。
ところが確定拠出年金は、運用の指図は加入者自身が行わなければならないため、正しい運用についての知識が必要になります。

お勤めの会社で確定拠出年金に加入している皆さん、正しい運用の知識はお持ちですか?せっかくのいい制度も、運用方法を間違えてしまっては意味がありませんよ。

プロ野球の世界で、年俸数億円のスター選手であれば、将来貰える年金額はそれほど大きな問題ではないでしょう。
でも、そんな選手は全体の一握り。
日本野球機構が選手に対して行ったアンケートの結果によれば、74%の選手が「将来に不安がある」と回答しています。
平均在籍年数が8.5年と言われるプロ野球選手。
ファンを魅了する素晴らしいプレーの裏には、我々が想像する以上に「年金問題」が選手の頭をもたげているのかもしれません。

(岡 知宏)